日本ポリドールのあゆみ

日本ポリドールの創立から戦後昭和30年ごろまでに製造された邦楽SPレコードの紹介です。目録はこちら

「ポリドール」とは独逸グラモフォンが国外向けに使用したレーベルで、日本でも阿南商会・鈴木らにより「日本ポリドール蓄音器」が設立されました。 当初は洋楽のみ発売していましたが、昭和5年1月新譜より邦楽盤を発売開始しました。昭和5年末、当時はレコード製造設備を持っていなかった「キングレコード」の代理製造を開始しました。 その立場を利用して当時キング専属であった東海林太郎をポリドールでも吹込みさせたところ、昭和9年の「赤城の子守唄」「国境の町」が大ヒットし、一時期はコロムビア、ビクターを退ける勢いを見せていました。 更に日中戦争に突入した後も上原敏・田端義夫が台頭してきました。しかし昭和16年、ヒット曲の担い手だった東海林太郎、作詞家藤田まさと、作曲家長津義司らがテイチクへ移籍し社運は大きく傾きます。 太平洋戦争に突入した昭和17年春以降は「大東亜レコード」と商標を変えるも原料統制やヒット盤不足により大きく没落し、更に空襲によって施設も被害を受けるなどし、昭和19年にはレコード製造を中止しました。

日本ポリドール沿革

 
年月 出来事
1926.08 ポリドール輸入元である阿南商会の阿南正茂、銀座十字屋の三男鈴木幾三郎らが独逸グラモフォンより「ポリドール」の日本製造権を獲得する。
1927.05 阿南を社長とする「日本ポリドール蓄音器株式会社」を設立、月末に第一回新譜発売。
1929.05 表参道に吹込みスタジオを新設。
1930.01 邦楽第一回新譜(1929.12.18発売)。
1932.01 大衆盤第一回新譜発売。
1936.06 キングレコード、ポリドールとの製造委託契約を満期解消。
1936.夏 上原敏と河崎一郎入社。
1937.02.13 社長の阿南正茂死去。鈴木幾三郎専務が二代目社長となる。
1939.11 作曲家の阿部武雄がコロムビアに、山田栄一がビクターに移籍。
1941. 主力音楽家の東海林太郎・藤田まさと・長津義司がテイチクへ移籍。
1942.03 大東亜蓄音器レコード株式会社」に改称、1942年4月新譜より邦楽レーベルが「大東亜レコード」となる。
1944.末頃 戦況悪化により「大東亜航空工業株式会社」に社名変更し、軍需工場に転換する。1944年1月新譜を最後にレコードの発売を中止する。
1945.04 13日の空襲により表参道の吹込スタジオが焼失、15日には大森池上の工場が半焼。
1947.01 戦後第一回新譜発売。

101~

邦楽盤は昭和5年1月新譜(昭和4年12月18日発売)から販売を開始する。

青柳 - 320-A

標準盤 - 1000~

昭和7年頃から9年までの標準盤。中央部の細かい表記が無くなった。流行歌が中心となり、演芸や童謡は他の番号へ移行する。

忘られぬ花 - 1262-A

標準盤 - 2000~

昭和9年1月新譜からは2000番台に移行し初期の価格は1円50銭。ポリドールが最盛期を迎えた時代の標準盤で、流行歌が中心。昭和13年1月新譜から写真盤が加わる。

国境の町 - 2121

昭和9年発売。

流沙の護り - 2514

昭和12年8月以降は特別物品税により1円65銭に値上がりし、レーベルに報国印が追加される。ポリドール以外にもテイチク、タイヘイが同じマークを使用している。

愛国行進曲 - 2573

一部に使用された白いレーベル。

声なき凱旋 - 2459

宣伝盤

鴛鴦道中 - 2550

昭和13年1月新譜。

しぐれ旅 - 2550

昭和13年1月新譜。

上海だより - 2551

昭和13年1月新譜。

倅でかした - 2551

昭和13年1月新譜。

忠治子守唄 - 2574

昭和13年2月新譜。

いろは仁義 - 2574

昭和13年2月新譜。

勇士の純情 - 2575

昭和13年2月新譜。

玄海の月 - 2575

流離 - 2577

支那娘 - 2577

人生航海 - 2586

昭和13年3月新譜。

嘆きの小鳩 - 2586

身代わり五十銭 - 2588

昭和13年3月新譜。

銃後だより - 2588

泣き笑いの人生 - 2598

昭和13年発売。

鹿の子草紙 - 2598

昭和13年発売。

陣中髭くらべ - 2599

昭和13年発売。

南京だより - 2599

徳利の別れ - 2611

昭和13年発売。

安兵衛ぶし - 2611

昭和13年発売。

上海の街角で - 2630

波止場気質 - 2630

北京だより - 2636

昭和13年6月5日臨時発売。

夢の蘇州 - 2636

昭和13年6月5日臨時発売。

愛馬の唄 - 2640

昭和13年11月新譜。

血染の戦闘帽 - 2640

昭和13年11月新譜。

戦場の子守唄 - 2641

軍旗の下に - 2641

曠野の進軍 - 2660

昭和13年11月新譜。

大陸に唄う - 2660

昭和13年11月新譜。

遂げよ聖戦 - 2662

昭和13年11月新譜。

熱砂の行軍 - 2662

昭和13年11月新譜。

麦と兵隊 - 2687

昭和13年12月新譜。

北満だより - 2687

漢口だより - 2703

武漢陥つとも - 2703

土と兵隊 - 2707

五台山めざして - 2707

アヴェマリア - 2737-A

昭和14年2月新譜。

口笛吹いて - 2737-B

昭和14年2月新譜。

星のセレナーデ - 2738-A

昭和14年2月新譜。

チャペルの鐘 - 2738-B

昭和14年2月新譜。

夢のゆりかご - 2709

昭和14年1月新譜。

思い出峠 - 2709

昭和14年1月新譜。

煙草と兵隊 - 2742

昭和14年

愛馬よ眠れ - 2742

男の行く道 - 2744

昭和14年

浮世の旅路 - 2744

唐人お吉 - 2746

昭和14年3月新譜。

加茂川ながし - 2746

涙の親子旅 - 2766

昭和14年5月新譜。

千曲流れて - 2766

島の船唄 - 2780

昭和14年6月新譜。

虹よ消ゆるな - 2780

花と兵隊 - 2804

戦場の幼な子 - 2804

出船の唄 - 2805

夢の城ケ島 - 2805

沓掛子守唄 - 2807A

御嶽別れ唄 - 2807B

大陸の町 - 2817

昭和14年8月新譜。

純情子守唄 - 2817

旅のつばくろ - 2818

昭和14年8月新譜。

潮来夜船 - 2818

昭和14年8月新譜。

大陸の町 - 2817

昭和14年8月新譜。

純情子守唄 - 2817

旅のつばくろ - 2818

昭和14年8月新譜。

潮来夜船 - 2818

昭和14年8月新譜。

里恋峠 - 2819

昭和14年8月新譜。

晴々街道 - 2819

昭和14年8月新譜。

月下の歩哨線 - 2835

国境の月 - 2835

名月赤城山 - 2843A

昭和14年10月新譜。

娘ごころ上州路 - 2843B

昭和14年10月新譜。

空の勇士 - 2861

巣立つ荒鷲 - 2861

泣くな姑娘 - 2869A

昭和15年1月新譜。

支那の一夜 - 2869B

昭和15年1月新譜。

ハルピン旅愁 - 2882A

昭和15年2月新譜。

支那の町 - 2882B

昭和15年2月新譜。

唄うマドロス - 2883A

昭和15年2月新譜。

旅の踊り子 - 2883B

昭和15年2月新譜。

新赤盤(後期標準盤) - P-5000~

黒盤を引継ぎ昭和15年4月新譜から昭和19年まで使用された標準盤規格。赤レーベルが基本だが、流行歌には写真レーベルが多い。昭和17年春から大東亜レコードに改称。

名曲集 - P-5279-A

昭和17年春に大東亜レコードとなる。

維新子守唄 - P-5016

昭和15年4月新譜。

涙の帚星 - P-5016

昭和15年4月新譜。

別れ船 - P-5018

昭和15年5月新譜。

雨の日曜日 - P-5018

昭和15年5月新譜。

船唄人生 - P-5026

昭和15年7月新譜。

大島つばき - P-5026

裏面

唄祭浩吉節 - P-5029

夏姿浩吉節 - P-5029

夕陽は遥か - P-5037

銀河の宵 - P-5037

艦隊勤務「月火水木金金」 - P-5060

起てよ一億 - P-5060

戦陣訓の歌 - P-5109

第三十六回陸軍記念日ポスター(松野一夫画)を採用したもの。

紀元二千六百一年「陸軍記念日の歌」 - P-5109

只今帰って参りました - P-5115

写真盤の一例。

夏草の夢 - P-5115

写真盤の一例。昭和15年5月新譜。

仏印だより - P-5082

写真盤の一例。

梅と兵隊 - P-5082

写真盤の一例。

大和一家 - P-5129

大和一家 - P-5129

石狩の春 - P-5131

雨の天城路 - P-5131

上陸の夜 - P-5137

南への道 - P-5137

浜町河岸 - P-5158

朝顔日記 - P-5158

別離傷心 - P-5193

あゝ日の丸だ前進だ - P-5193

露営の一夜 - P-5200

凍る歩哨線 - P-5200

アルハンブラの夢 - P-5312-A

古い港 - P-5312-B

故郷 - P-5313-A

夜のハバネラ - P-5313-B

日本俗曲集(上) - P-5331-A

大東亜レコード時代の写真盤。

日本俗曲集(下) - P-5331-B

裏面

高級盤 - 5000~

昭和5~10年に使用されたレーベルで純邦楽や歌曲が中心。一枚2円。

鶴亀(一) - 5012-A

長唄など数枚組のものには特製ケースが付いている。

廉価盤

主に浪曲・童謡・演芸に使用されたレーベル。3500~4000番の緑盤と8000~9000番台の茶盤・青盤など。

青柳 - 3688

初期の廉価盤は3500番台から始まる青緑レーベル。一枚1円20銭。

滑稽掛合萬歳 - 3834

前の物より緑色のレーベル。

森の石松 - 8030-A

8000番より茶色のレーベル。

文七元結(一) - 9008-A

昭和13年秋から藍盤となる。

金色夜叉(一) - 9240-A

廉価盤にも少数存在する写真盤。

日本盆踊り - P-3081-A

昭和15年4月新譜からはP-3000番台に移行し、黒レーベルになった。1枚1円55銭。

松竹レコード - S1~

松竹映画の主題歌専用レーベルで、昭和6年から10年まで発売された。

有憂華の唄 - S6-B

コロナ(CORONA) - コロナレコード株式会社 川崎市遠藤町726

日本ポリドールの子会社として昭和11年10月1日に川崎市の旧ウエスターンレコード工場跡に設立。12年1月新譜より販売開始。昭和13年3月に解散。

瞼の父 - C5044A

演芸などにはC5000番台が使用された。

洋楽10インチ A100~

デッカ原盤。

TRAVIATA - A-234-A

洋楽規格の一部にも写真盤が存在する。

It's Raing Sunbeams- A-234-B

レーベルタイトルは誤植で正しくはIt's Raining Sunbeams

戦後標準盤 - 7500~

昭和22年に戦後盤販売開始、7500番からはじまり、戦前のヒット曲も再発売されている。

戦後標準盤の写真レーベルの一例。

裏面。

戦後標準盤の写真レーベルの一例。

戦後標準盤の写真レーベルの一例。

童謡レーベルの一例。

童謡レーベルの一例。

民謡レーベルの一例。

想出盤 - R

昭和29年から発売された。戦前ヒット曲の再発売。

八木節 - R35

レコード袋

写真は上原敏

裏面